2024年度中條2年セミナー
「2024年度 東京都議会議員の政治的態度と行動調査」分析結果
学生論文
- 「議員におけるSNS運用の支援体制とその効果」
議員はSNS (Social Media) を使いこなしているだろうか。都議会議員を対象にした本調査によれば、SNS運用スタッフが存在する場合、スタッフがいない場合よりも、フォロワー数、投稿頻度、平均いいね数の全てにおいて凌駕している。例えば、SNS運用スタッフが存在するグループのフォロワー数は平均6,855人であるが、スタッフがいない場合のフォロワー数は平均3,712人と約1.8倍、平均いいね数においては約1.3倍の開きがある。議員のSNS運用においてスタッフの存在は重要である、と言えるだろう。
- 「都議会議員の政治的動機に関する分析」
政治家を志した動機を会派別にみると、都民ファーストの会所属議員は「問題意識」、共産党所属議員は「依頼」と回答する傾向にあり、性別でみると男性議員は政治家の姿を見て自らも政治家を目指す傾向がある。また、政治家を志した年齢の平均は32歳で10歳から50歳と幅があり、男性議員は女性議員に比べて5歳ほど早く志すという傾向が認められた。政治家になるプロセスのみならず、政治家を志す動機や時期においても性差が存在することを明らかとした点に本稿は意義がある。
- 「東京都議会議員の防災対策に影響を与える要因」
東京都政において防災は重要な政策課題のひとつである。本稿は都の防災対策を評価する議員とはどのような議員かという研究疑問をもって分析を行った。その結果、当選回数や選挙区(23区・その他)は防災対策の評価に影響しないが、知事与党である都民ファーストの会所属議員はその他会派所属議員よりも平均して2.5以上も高く評価(10段階評価)していることが明らかとなった。都知事与党所属議員が都の政策を高く評価することは当然のことに見えるが、統計的有意差を明らかにしたことは重要である。
- 「政党によるカーボンニュートラル達成への影響」
東京都は2030年までに2000年比で温室効果ガス排出量を50%削減するカーボンハーフを目指しているが、そのためには再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の向上が必要である。カーボンニュートラルの推進と経済活動の両立は大きな課題となっている。本稿は、それぞれ異なるイデオロギーを持つ都議会政党がこのカーボンニュートラル達成までどのような道を描いているかを比較検討した。結果、保守的な政党であるほど、カーボンハーフ・カーボンニュートラルともに目標年を遠くに設定する傾向がみられ、逆にリベラル・左派的な政党であるほど目標年を近くに設定する傾向がみられた。カーボンニュートラル早期達成と経済活動推進は1つのイデオロギー軸であると言えるだろう。
- 「都議の意見と都政の関係性」
議員は自らの政治的立場や都民の声を都の政策に反映させている一方で、東京都として知事と連携しながら政策を決定する必要がある。本稿は、個々の議員と東京都としての政策課題の一致度は知事との関係性つまり会派によると仮説を立て、議員が考える東京都が注力している政策と議員自身が感じる喫緊の課題に統計的有意差があるか分析した。その結果、議員たちが認識する東京都の課題が各会派で異なる中で、さらに立憲民主党所属議員は、東京都として取り組む課題とは別に個々の課題に注力している、ことを明らかにした。本研究は、議会における与野党の方向性の違いに加えて、各政党内組織の違いも浮き彫りにした意欲作である。
- 「インターネット選挙運動とインターネット投票導入に対する東京都議会議員の態度分析」
インターネット選挙運動を積極的に展開する議員はインターネット投票にも肯定的であるのかという問いは一見すると妥当のように思われる。しかしながら、本稿が明らかにしたのは、インターネット選挙運動への依存度が高い議員ほど、インターネット投票導入に慎重であるという関係である。この関係は、年齢や当選回数をコントロールしてもなお統計的有意であった。この結果は、政治活動におけるデジタル技術の活用と、制度改革としてのデジタル化に対する評価が必ずしも一致しないことを示している。
- 「都議会議員のイデオロギーは知事評価に影響を与えるのか」
本稿は都議会議員による現職都知事への評価が、議員自身の政治的イデオロギーによってどの程度説明されるのかを検証する。この問いが重要であるのは、議員は有権者と同じように政治的信念に基づいて行動するのか、それとも代表者として自身の政治的信念から離れたところで判断・行動するのかという問いに関連するからである。分析の結果、知事評価に対して議員のイデオロギーは強い影響を与えていることが明らかとなった。議員自身もまた有権者と同じように政治的信念に基づいて判断・行動していると言える。