私たちが行った調査の概要について発表します。調査目的は、都議会議員自身のことや、東京都に対する意識・現状抱えている問題についてどのように考えているのか理解を深め、年齢・性別・会派などによってそれらに差異があるのかを調べることです。
調査方法に関しては、調査対象が都議会議員124名、実施時期としては2019年10月16日に調査票を郵送し、今現在(2020年1月10日)も受付中です。調査手法は調査票を郵送して回収しています。QRコードも付随させGoogleフォームを利用したウェブ調査も併用しています。
回収状況です。有効回収数は49件、回収率としては39.5%になります。また、会派ごとの回収率に関しては、一番きたところは都民ファーストの会で41%、その次が共産党の23%です。
次に集計データです。たくさんの問題がありましたが、今回は数件、ランダムにピックアップしてお話しします。まず都議会は女性が働きやすいかどうかをどのように感じているかを聞いたところ、ほとんどの人が働きにくいと考えています。年配の人に関しては、どちらかといえば以前と比べては、働きやすくなったと回答されている方もいました。
個人的な政治的立場について、お聞きしたところ、左派・リベラルと答えている方が4名ですが、ほとんどの人が中立的立場を選んでいました。
次にオリンピックの準備が進んでいるか・いないかの問いでは、進んでいると答えたのが9人、どちらかといえば進んでいるというのが20人、どちらかと言えば進んでいないと進んでいないを合わせて15人です。
続いて分析発表に移ります。
本研究のテーマは日本語指導を必要とする子どもへの支援に対する都議会議員の態度についてです。皆さんご存じでしょうが、近年、中長期的に滞在している外国人の数はどんどん増えて昨年6月末に約282万人です。この増加にともなって、外国人の子どもの数も増加しています。
今、教育現場が抱えている問題の1つに、日本語指導を必要としている児童・生徒の数が増加していることが挙げられます。公立学校における日本語指導を必要とする児童・生徒でいえば、2018年時点で日本国籍と外国籍を合わせて5万人の子ども達が(日本語指導を)必要としています。日本語が十分に出来ず、授業についていけない、学校での居場所がなくなる、入学が断られるなど深刻な問題となっています。
学校の中には日本語の取り出しの授業を行っていたり、独自の制度を設けている学校もありますが、あまり改善されていないと感じています。特に、私もボランティアとして日本語指導の支援をしていますが、ボランティアだけでも厳しいし、学校独自の取り組みだけでも厳しいのではないかと思い、次のような問いを立てました。
都議会議員は、日本語指導を必要とする子どもへの支援について、国や都道府県、各地方自治体といった行政サイドと、NGOやボランティアといった民間団体のどちらがどの程度負担するのが望ましいと考えているのか。私の予想としては、議員自身のイデオロギーと、所属する政党・会派によって、回答に違いが出るのではないかと考えました。
調査での問いは、書いてある通りです。「あなたは、日本語指導を必要とする児童生徒へのサポートを国や都道府県、各地方自治体といった公共団体によるものと、ボランティア団体やNGOといった民間の団体のどちらが何割ずつ負担するのが望ましいと考えますか。配分の合計が10になるようにお答えください。」回答者は、その時点で有効だった44人で、会派の内訳も都民ファーストが4割、共産党が2割といった具合で、先ほどの調査概要の説明と同じです。
調査結果を、横軸が望ましいと思う公共団体の負担割合、縦軸を回答者数としてグラフ(ヒストグラム)にしました。最も多かったのが、民間団体と公共団体、5割ずつ負担するのが望ましいと考えている人たちで12人。全て公共団体で負担すべき、10割と答えた人も5人います。
ここからはイデオロギーとの関係です。まず、最も左派を0、保守・右派を10として、議員の皆さんに自分たちの立場を回答してもらいました。そして、公共団体の負担割合を目的変数、イデオロギーを説明変数として単回帰分析を行いました。数値はこのとおり、イデオロギーの係数が-0.25、5%水準で統計的有意になりました。つまり、イデオロギーの違いが回答に影響を与えています。横軸にイデオロギー、縦軸に公共団体の負担割合をとった散布図を見てもばらつきが大きいですが、リベラルな立場を取る人ほど、公共団体の負担割合を多く答えていることがわかりました。例えて言えば、リベラル=大きな政府という議論に当てはまると考えています。
次に所属政党との関係です。まず、公共団体と民間団体の負担割合の回答を、会派や政党ごとにまとめて平均を出しました。例えば自民党所属の人は平均して公共団体が6割、民間団体が4割の負担が望ましいと答えています。
検証するにあたり、まず政党を、国政与党である自民党と公明党、それ以外の政党という2つにわけました。これは与党であるか野党であるかの違いが、回答に影響すると予想したからです。公共団体の負担割合を目的変数、会派を説明変数とした単回帰分析をしました。結果はこのとおり、会派の係数は統計的有意ではありません。
ここでもう一度平均の割合を見ると、自民党所蔵議員と都民ファーストの会に所属する議員の公共団体負担の割合がそれぞれ6と6.2、立憲民主党・共産党・その他の3つのグループはそれぞれ8.5,8.2,7.3とこの2つの間に差があるのではないかと気づきます。
そこで、次の分析をしました。先ほどの分析では政党を、国政与党と野党の2つにグループ分けしましたが、今回はそれぞれの政党一つ一つを基準に分析しています。最初の表は、自民党を基準にしたときに、そのほかの政党と有意な差があるかを検証した分析です。このときは、共産党との間に有意な差があるとわかりました。それぞれ公明党、都民ファーストを基準にしたとき、共産党、立憲民主党でもそれぞれ分析を行いました。その結果、自民党・都民ファーストに所属する議員と共産党の議員では、有意な差があることがわかりました。また、自民党や都民ファーストの会に所属する人に比べ共産党は、公共団体の負担を多く答える傾向があることがわかりました。
まとめると、リベラルな立場をとる人ほど、公共団体の負担割合が高い方が望ましいと考えています自民党または都民ファーストの会に所属する議員が答えた公共団体の負担割合と、共産党に所属する議員が答えた公共団体の負担割合には、有意な差があります。自民党・都民ファーストの会に所属する議員に比べて、共産党に所属する議員は、公共団体の負担割合が高い方が望ましいと考える傾向があります。
都議会議員は都民により公選されますので、議員は都民の信頼を得るため日ごろから都民との効果的なかかわり方や自身の活動のアピール方法について考えているはずです。それでは、どのような要因が都民からの支持に影響するのでしょうか。また、どんなことに気をつけたポスターが当選順位をあげるかも気になったので、追加で分析しました。こちらは少しあとでお話をします。
まず当選順位に影響を与える要因の分析です。当選順位は、会派やSNS活用度そして都民の意見への注意などの独立変数でもたらされると仮説を立てました。なぜなら、これらの独立変数は都民が議員に対して持つイメージについて重要で、当選順位にかかわるからです。会派の知名度は議員の知名度に影響を与え、多くの議席を獲得する会派に所属していれば、有権者から信頼されやすく当選順位も上がると考えました。次にSNSです。拡散力が高いので、うまく活用できていれば当選順位も上がるのではないかと考えました。
今回の 分析で使用したデータについてです。調査では48名から回答がありましたので標本数は48です。SNS活用度は、「SNSの利用はご自身の政治活動全体において、どの程度役に立っていますか。」とたずね、5点尺度で点数付けをしました。都民の意見を反映するために日頃から注意していることについては、「集会を定期的に開催」「SNSのチェック」「活動報告配布」「新聞やテレビなどのマスメディアのチェック」「その他」の選択肢にあてはまるものを選んでもらいました。その合計数を分析に利用しています。
量的データを用いた変数についての記述統計としては、当選順位の平均が2.6,SNS活用度の平均が5点尺度中の4.33、都民の意見への注意数が5点中の3.52です。従属変数である当選順位のちらばりを示すヒストグラムも作成しました。1位が15人、2位が13人、という感じになります。
これらを用いて重回帰分析を行いました。各変数のp値をみると、「SNS活用度」「都民の意見への注意数」は有意水準5%よりも高い、つまり有意差がなく、当選順位に影響を与えません。独立変数が会派であるとき、p値は有意水準5%よりも低く有意差がある、よって会派は当選順位に影響を与えると言えます。
ここで有意な変数となった会派についてさらに見ていきます。箱ひげ図は、当選順位を表しているので下にいくほど(1に近いほど)上位当選を意味します。都民ファーストの会のような会派の議員は比較的よい順位を得ていることがわかります。また、無所属議員も上位であり、支持を得ていることが、この分析から判明しました。
次に、追加の分析です。どのような点に気をつけたポスターが有権者の注目を集め、得票数をあげ、順位をあげるのかについて分析します。同じく都議会議員への調査結果を利用しています。標本数は45、選挙ポスター作成時にきにかけたこととして回答を「字の大きさ」「レイアウト」「色」「笑顔」「言葉」「その他」からあてはまるものを全て選択してもらいました。
重回帰分析の結果、p値を見ると独立変数が「色」「笑顔」の場合、統計的有意さがあり、当選順位に影響を与えると言えます。「その他」については自由記述にしていました。自由回答の内容は、党の方針など多岐にわたっていたのでひとまとめにすることはできないと判断し、独立変数としては色と笑顔の2つが当選順位を予測するのに有意である可能性が高いと考えました。
「色」と「笑顔」、この2つの変数を詳しく見ていきます。左の青の図は、ポスター作成時に色を気にかけた否かを箱ひげ図で表しています。これを見ると、色を気にかけた議員より気にかけない議員のほうが当選順位が高い。重回帰分析では色は有意な変数とでしたが、確かに係数は2.37と正の方向なので当選順位が下がる方(数字が大きくなる方向)に影響があると言えます。
右の図は、ポスター作成時に笑顔を気にかけたか否かの箱ひげ図です。この図から、笑顔を気にかけた議員のほうが気にかけなかった議員よりも当選順位が高いことがわかります。笑顔はその人の第一印象に大きな影響を与えるものなので、この因果関係には納得できます。
今までの分析結果をまとめると、わかったことは大きく2つあります。1つ目、会派は当選順位に影響を与えます。多数の議席を獲得している会派の議員は当選順位が高い。また、2017年都議選では無所属の議員も当選順位が高いです。2つ目に、選挙ポスターにおける笑顔は当選順位に影響を与えます。笑顔に気をつけたポスターは、有権者の注目を集める可能性があると言えます。これらの結果を踏まえ、今後より深く考えていきたいと思います。
調査の回収率についてお話しします。どんな議員が回答しないのか、です。議員たちにどうしても調査に回答してほしく、どんな議員が回答し、どんな議員が回答しないのかを分析しようと思いました。そこで、理論から導く予想(仮説)として、3つの仮説を検討しました。
第一に、議員は選挙に当選しないことには議員活動ができないので、選挙で余裕である議員は特に回答するインセンティブがないと考える可能性があるので、余裕がある議員は回答しないかもしれない。選挙で余裕がある議員とは、前の選挙で得票率が高いとか、当選回数を重ねているのであえてそんな活動をしなくていいとか、2世議員・3世議員で地盤が安泰な議員、このような議員が選挙で余裕と思っているので、学生の調査に答える必要がないと考えがちかもしれません。
第二に、忙しい議員は忙しくて調査依頼に気づかない可能性です。忙しい議員、例えば役職についていたり、所属団体が多かったり、そういった議員は回答しない傾向があるかもしれません。また、当選回数については、第一の仮説と相殺しあうのですが、当選回数が少ない議員のほうが日常活動に忙しいので、もしかしたら回答しないかもしれません。
3つ目が、回答することによる利益を感じているかどうか。つまり、学術調査の意義とか、学生の依頼に対して答えることにメリットを感じる議員なら回答するし、感じないなら回答しない。この「利益を感じる」をどう測るか。これはずばり、教育程度が関係してくるかもしれないし、SNSの影響力を広く感じている議員だと回答してくれるかもしれない。調査意義や学生への向き合いなどどうでもいいと思っている議員だと回答しない可能性がある。
つまり、回答してくれない議員とは、選挙に余裕で、日常忙しく、学生の調査依頼を気にかけない、そういった理由から回答しないのではないかという仮説を立て、分析した結果を報告します。
私は津田塾大学に来る前に、札幌の大学で、札幌市議会議員の分析をしました。札幌市議会は68名中57名が回答してくれました。多いと思いますよね。なぜかというと、直接回収しに行ったからです。市議会の事務所まで行って、ドアをトントンとノックして回収したのでこんなに高くなりました。それでも回答しない議員はどういう議員なのか、分析してみましたら、得票率が高かったり、教育程度が微妙に高いという議員が、札幌市議会議員の場合は回答していませんでした。そこで、私が考えた結論は、生意気な(smartass)というか、不真面目な議員は回答しないのかなという一時的な結論を導きました。ここまでは4年前(2015年)の分析です。
そして、昨年(2018年)と今年(2019年)、東京都議会議員調査を実施しました。この調査では回収率が30~40%ぐらいで、同じく、どういう議員が回答しないか分析してみました。やはり、得票率が高い議員は回答しない傾向にあるし、当選回数が多かったり、親族に政治家がいたり、やっぱりSNSを用いない人だと回答しない傾向にある。興味深いのが、おそらく女子大の調査だったからかもしれませんが、女性議員のほうが回答が多い。逆に言うと男性議員が回答してくれない。とりわけ男性で大卒だと回答してくれない。4年前の分析と似たような結論になります。
まとめると、選挙は余裕でSNSの影響力を感じていない議員が回答しない傾向にあるようです。私の結論としては、こういうことかなと思います。とすると、SNSの影響を実感させることで、回収率が上がるのかなという結論に至りました。
音喜多さんの場合、非回答者の属性や特徴の中で、当てはまらないのがこれ(SNSを用いない)くらい。とすると、やっぱりSNSを重視しているから回答してくれたのかな、と思いました。SNSやっぱり重要かもしれません。私の結論はこんな感じです。
最後に、調査の意義ですが、調査の結果をもって先ほどの学生が分析したように会派のバランスとその影響が明らかになり、そして有権者にも議員や議会についてよい情報となりえます。そういった学術的また社会的意義があるので議員には是非回答してもらいたいという流れで、音喜多さんにバトンタッチします。
音喜多:あらためましてこんにちは。参議院議員の音喜多駿です。こんな格好ですみません。こんな格好の議員はあまり多くないです。僕はスーツがあまり好きではないので、国会がない時はこんな格好でウロウロしています。警備員さんにさっき止められました。何しに来たんだと。
僕は都議会議員を6年間やっていまして、前回のアンケートには答えていました。どう答えたか覚えていませんが、今回そのご縁で、中條先生から話してほしいと。私の話が皆さんの研究内容に役立つかはわかりません。30分ぐらい話して、質疑応答したいと思います。
僕のこと知ってるとか見たことある人は?半分くらい。僕以外の都議会議員を知っている人は?
学生:森澤恭子さん
音喜多:地元だからですか?
学生:お世話になったから。
音喜多:国会議員なら小泉進次郎さんとか知っている人もいるでしょうけど、都議会議員はテレビにも出てこない。僕ら中2階、2階でも1階でもない、真ん中のぶらんとしたところで、実態としてつかみがたいこともあるので、そんな話をしていきたいと思います。
本題に入る前に、皆さんの発表が面白かったのでフィードバックを。2人目の発表の、外国人の教育の問題で、分析の前提を、自民党が与党っていうことでしたが、実は与党は都民ファーストと公明党なので、そこを前提にすると入り口が違う。野党は出費を多くする人が多い。与党は基本的に財政に責任を持たないといけない。財源どうするかを組み立てる責任がある。一方、野党は好き勝手言ってればいい。言い方悪いけど。「お前ら何やってるんだ、足りない」と。どちらかというと出費に傾くほうに主張をもっていく。逆に自民党は、今は与党じゃないので、ある程度差別化というところでは、こっち側もう少し小さな政府にふれていくとなると、合理的な説明がつくと思いましたので、さらなる研究のときには追求すればおもしろいと思います。
3人目の発表ですが、無所属の得票率が高い。何でだと思いましたか?理由は?わからない?答えがありまして。無所属3名、もともと都民ファーストの会だからです。 都民ファーストから当選して無所属になったので、都民ファーストの方の当選順位が高いという結論になる。無党派層が多いから無所属が高かったのではなく、前回の選挙は風が吹いていて、小池旋風で都民ファーストがぱーっと勝ったときの当選だったということ。明確な答えがあるので、お知らせしました。
中條先生からもありましたが、SNSを活発に使っています。僕はブロガー議員と言っています。365日毎日更新しています。議員になって7年目、1日も欠かしたことがありません。ブランディングの一環として、自身にブロガー議員という二つ名、あだ名をつけて活動して、その結果、当時ネットなんかほとんど使わない時代でしたが、今は使うのが当たり前となってるなかで、パイオニア的なポジションを確立、インターネット関連のイベントで声をかけていただいたり、女子大は初めてですが、大学にもいろいろ呼ばれています。最近YouTubeをやっています。ぜひチャンネル登録してください。今3000人ぐらい、今年3万人をめざしています。
テレビで見たことある方が多いと思います。小池知事が旋風を巻き起こしていたとき、テレビによく呼ばれました。「ビビット」とか。「Qさま」とか「ネプリーグ」など、クイズ番組なども呼ばれました。
趣味はストリートダンス。マラソンも好きで、今年は100キロマラソンにエントリーしました。一昨年60キロ走って、次は100キロ、自分を追い込むのが好きなのでやっています。
僕の場合は、女子大で話していいのかな、女の子にモテたい、これがそもそものきっかけです。どういうことか。私、男子校に通っていました。まったく女の子にモテなかった。いろいろ努力しました。バンドを組めばモテるんじゃないかとか。バスケとかサッカーが一番上、勉強できるヤツが二番目、スクールカーストはまだなかったのですが、文化系が3番目で、オタク層が最下層。見事に最下層だった僕は、楽器を弾けばもてるかなと思ったけど、モテなかった。モテない理由は、当時、GLAYとかL'Arc~en~Ciel(ラルク アン シェル)が全盛で、周りはそのコピーばかりやってましたが、僕がやったのは聖飢魔Ⅱ。当時、ビジュアル系がはやりはじめました。今はGACKTさんがモテてますが、当時はマリス・ミゼル。真っ黒の服でメイクをして踊る人がいて、僕は好きだったので、それをまねしていました。
当時、そんなことわからないので、高校生だった音喜多さんは考えました。自分を変えるより社会を変えるほうがいいと。これは発想のイノベーションです。社会を変えることはどういうことかと思ったとき、政治だ。社会をつくっているのは政治だということで、政治学科に進んだんです。
大元のきっかけはとりあえず、ここで政治に興味を持った。モテたいということで政治学科に入り、ゼミでは女性と政治について研究しようと、着手しました。きわめてよこしまなきっかけで始めた研究ですが、いろいろやるとおもしろいことがわかってきました。
これはもったいないと単純に思いました。女性が政権をとって政治をやったからといって社会がよくなるかどうか、それは正直わかりません。ただ、人類の半分は女性。 そこには優秀な人もいるのに、社会を導く指揮棒を渡したことがないのは機会を損失しているだろうと。女性が主導する社会を見てみたいと思いました。
そこで改めて、社会は何でできているか考えると、ルールでできている。僕がどんな大金持ちになって社会を変えようと思っていても経済人には限界がある。ZOZOの前澤さんとかも100万円配ってとか、月に行ってとか言ってますが、彼に一部を変えることはできても、大枠を変えることはできません。
例えば資本主義という経済の仕組み。乱暴にいうと、365日24時間戦うヤツが強いんです。お金を稼いで。生産数を上げて。でも、女性は月に1回体力が落ちるときもあるし。資本主義のルール、経済のルールは政治が決めている。政治家がこの社会を運営していこうと規定している、その中で経済活動をしたり生活している。
大元を変えないと女性が活躍するのは、そもそもできない。政治家はルールメーカーですが、自分はローメーカーになって女性が意思決定をすることができる社会をつくりたい。そのために自分が政治家になるので手っ取り早いと。大学時代に政治家になろうと決意を固めました。
僕は、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンにいきました。なぜ、そんなブランド会社から政治家になろうと思ったのか、非常によく聞かれますが、実は順序が逆です。学生時代には政治家になろうと決めていましたが、政治家は日本だと25歳になるまで出馬できません。被選挙権、つまり選挙に出るには、衆議院は25歳、参議院は30歳になるまで出られない。まず、どこかで働かないといけない。秘書になるとか、古式ゆかしいルートはとりたくなかったので、民間で経験を積もうとしたとき、何が政治家になるまで糧になるかと思ったのが、女性社会をつくれば人類をよくしていけると。 トップが女性、従業員も9割ぐらい、幹部も7割が女性の組織に所属してみたい。そうすれば、女性がトップをとったときにどういう意思決定が働くか、どういうルールができていくか、疑似体験できるのではないかと思い、就職活動のとき化粧品会社やアクセサリーなど、女性がトップマネジメントをやっている業界や会社を受けました。それで、入社した経緯があります。そこで女性がどうなのかを、研究、学びながら、政治家になるための牙を研いでいました。
この話をすると、よく受ける質問があります。7年間いて、男性と女性の違いとか、女性がすごくよかった点でどんなことがあったか。悪い点を述べると最近は炎上しますが。僕は、女性社会のほうがイノベーティブだと思っている。女性は感情的だとか言われますが、男性は前例踏襲主義。数字を見るから。営業でも去年はこう、今年はこう、前回企画を失敗したから今年もやめておこうと。一方女性は、去年の数字なんか関係ないでしょ、前の商品と今年と似ていても、コンセプトが違うとか、全然別物で違う結果が出るというのは、あきらかに女性の方が多い。
これからの日本に必要なのは後者の女性型社会。今までの日本は人口が増え、右肩上がりに伸びた社会では、去年はこうだった、今年は去年をちょっとよくしていく積み重ねでいく。これからは、超少子高齢化でこれからそれをやっているとじり貧になるだけです。思い切って今までない発想で飛んでいかなければいけないときには、女性の考え方がとりわけ必要だと思っているので、女性が権利を持つ社会を作っていくのが、自分の体験からも正しいと思っています。
この会社は居心地がよくて、なんせ僕、女性が好きで、周りに女性がいるだけでうれしいわけです。そんな環境で楽しくてしようがないと、いずれ政治家になろうとか、もう少しお金があったらとか、もう少し有名になってからとか、いろいろブレ始めたわけです。40歳ぐらいで経営者になってから、とか。
こんなふうに言われた。「僕らはこれはできないとか決めているだけです。できることはいくらでもあるのです。絶望の底に立たされた被災地の人が前を向いて歩こうとしているのです。すべてをもっている僕らは何でもできるはずです。」こんなことを言われたときに恥ずかしくなりました。なんておろかなことをしているのか。自分が明日死ぬかもしれないのに、いつか時が来たらやろうというのは、きわめてナンセンスなこと。そんなことを言っていたら、政治家、官僚になりたいといっていたのに死んだ人に申し訳ないと、自分が恥ずかしくなり、健康でできる状況なのに、やらないのはあり得ないだろうと、東京に戻り、今すぐ政治家にならないといかんと。
もう1つは、そのときは民主党政権で政治も行政もぐちゃぐちゃで、何も意思決定できないし、現場も疲弊していて、こんな人に政治を任せていたら日本は20年ももたないと、強い印象を持った。とにかく最短距離で2011年から政治家になろうと決めました。2011年に、一番近くにあったのが、2013年の東京都議会選挙でした。ここがすごくいいベンチマークだと。
そして参議院議員として今があります。新聞やテレビなどのメディアで活躍させていただいています。僕のブログは月間30万PV。一方、日本の最大政党の自民党の公式ホームページで月間20万ぐらいです。なので、私は1人で自民党を倒した男だと言って、いつも自民党の議員に怒られます。日本初のブロガー議員として活動しているのが私です。
最後に。こういう話をすると、結局モテたのですか?と。モテませんでした。政治家はモテないです。僕らよりちょっと若い世代が求めるのは収入と安定。収入と安定に一番遠いのが政治家です。非正規はイヤだ。4年に1回クビになる。究極の派遣社員です。猿は木から落ちても猿だが、政治家は選挙に落ちたらただの人。この標語は大嘘だと思っていて、政治家は選挙に落ちたらただの人じゃなくて、地域で一番有名な無職。コンビニで「あのアイスを買っている人はこの間選挙に落ちた人だ」と言われてしまう。そんな目線に、多くの人は耐えられないので。単純にもてるなら、ルイヴィトンにいたほうがよかった。
私の夢は、ここから女性社会をつくることです。僕が40代で若い男性総理になって、その後、女性にバトンタッチ。そうなれば僕は歴史単位でモテるんです。死してなおモテる、と言っています。究極ゴールの内閣総理大臣を目指してまだ13年あるので、僕はできると思っているので、頑張りたい。
地域の皆さんの代表者。行政と対峙して都民・市民のために政策が行われるか監視して改善を提案する。市民と行政の間を取り持つ。
ブレークダウンします。我々の活動は大体この6つぐらい(立法、議案審査、代表質問、陳情対応、政務活動、党務)になるかな。
まず立法。私たちはローメーカー。法律、ルールをつくるのが仕事。国会議員だけではなく、地方議会議員でも条例がつくれます。法律範囲ではあるけれども、地域の独自条例、禁煙条例とか。東京都でも今年の4月から室内は全面禁煙です。国に先がけて都がルールをつくって、皆さんにお願いします。立法機関でもあります。
ところが実態は、地方議会で議員立法は極めて少ない。東京都議会だと、ここ20年で2本とか。基本的には知事提案という行政提案の条例案を賛成・反対するだけで、自分たちが議員提出提案、議員立法でだすことは、ほとんど行われていない。残念ながらその能力が今の日本の地方議会にないんです。私が都議会議員のときも、議員立法はしたことないです。都議会議員127名のうち11人以上いないと提出できない。私は大きな会派にいたことがないので出したことがありません。
では、何をやってるか。条例案、議案の審査、知事が出してくる条例にイエスかノーか。イエスにしても条件付き賛成、それは知事や執行機関と対峙しながら最適解を求める。これは理想ですが、実態として、出てきたときには全部終わってると言われます。日本独自ですが、出す前に最大与党で(普通は自民党・公明党)打ち合わせしています。だいたい調整し終わった後に、議会初日にバーンと提案として出てくる。出てきたときに我々がおかしいとか言っても、与党と行政は握った段階で決めているので、もうどうにもならないことが多い。このルールは妥協しなければまずいと、変わることもあるので、我々は勝ち取るために野党は攻撃をします。
3つめは政策立案、議会提言。我々のメインだった仕事の1つです。代表質問、一般質問というものを各議会では「質問」といいます。質問といっても、「これがわかりません」とか「トイレ行っていいですか」ではなく、政策提案です。「これはどうなってますか」「じゃ、こうしたらいい、こう変えましょう」と提案することが年に何度か、権利として与えられるので、これをしっかりやる。
基本的に議会がないときは、そのための調査研究に時間をあてるのが望ましい。でも、残念ながら多くの議員はこれをしない。地方議会って年間100~120日。それ以外は、だいたいの人は遊んでいるか、選挙活動。地域に顔を売ることは熱心ですが、政策を磨いたり、ほかの地域に視察に行ってとか、そういう人は極めて少数であるのが実態。外に出れば出るほど不利になります。
今、東京選出の参院議員ですが、東京の外には票はない。東京の中でうろうろしたほうが次の選挙、都合がいい。普通の議員さんだと、出たくない。地元にいる。ということで大体みんな地元にいます。なかなか調査研究が活発になりません。
4つめ、議会から離れて市民からの陳情対応。信号機つけてとか、塀が壊れてるとか、市民からの陳情を受けて、行政に伝えてなんとかしてください、もっと新しくしてほしいというのが議員の仕事です。本来、市が運営するもの、行政がやってるものについて陳情を受けてどうこうというのが本来ですが、私的なもの、例えば私の子どもが保育園に入れないというとき、その子だけをどこかにネジこむのは本来はやってはいけない。それは癒着です。裏口ルート。あるいは都営住宅に入りたいということ。今でも議員に頼めば入れるというのは、ある。エビデンスないんですが、恐らくあります。常態化が議会の実態としてあります。
僕はそういうことをやらない議員ですが、やる議員もいるから、僕が地元回ってると、「なんで? ○○先生やってくれるよ」とか言われます。正直者がバカをみるような感じ。道路を直してほしいなど、まっとうな陳情もあります。
ブログやYouTubeなどもそうですが、今、議会で何が行われているのかなど、皆さんに伝えること、これはマスコミの仕事でもありますが、当事者としての議員の仕事でもあります。これをやっていかねばなりませんが、多くの議員はそれを選挙活動にしているのが実態。政務活動費は、チラシは地方議員だと政務活動費、都議会だと月50万。ほかの地方議会だと20万とか。でも、だいたいの人は自分の顔写真をバーンと出して、実績をたくさん書いて配ってしまう。まじめに町の問題点などを書いている人は、次の選挙では落ちる。顔写真バーン、「私、○○をやりました」と、バーンって出す人が次の選挙で勝ちます。
党務。無所属、都民ファーストの会とかありますが、党に所属していれば、党から仕事が来たとき、視察したり被災地支援に行くなど、一緒に行ったりもします。政党所属しますと、日本維新の会に今いますが、例えば地方議会で解決が難しいことは国政に来たりします。それぞれの活動をバランスよくやって、皆さんを代表して仕事をしていくのが地方議員の仕事です。
まず、東京都議会というのは、広域自治体の議会です。いわゆる都道府県議会です。 自治体には2つあります。広域自治体と基礎自治体です。基礎自治体は市区町村。北区とか南区とか。東京都は広域自治体。
自治体の違いについて話すと泥沼にハマります。この違いをパッと説明できる人いますか。担う役割の違い、わからないですよね。広域自治体は、見たとおり広いので面で考えるとわかりますが、小学校中学校までは、区立や市立が多い。高校になると都立になる。区立は、歩いて自分たちの街から通う。都立は電車に乗って通ってくる。広くなる。水道は東京でやっている。水道管は区ごとにブチッと切れないですよね。水源までつながって東京都内全部に這わせているから広い自治体が管理したほうがいい。広い自治体のものを受けるのが広域自治体の仕事で、狭いところは基礎自治体で、役割分担がされています。
どっちの仕事量が多いか。圧倒的に基礎自治体のほうが多いです。身近なところが触れる面が多いから。広域自治体はジレンマがあり、東京都はお金もありいろいろなことができるが、実態の業務は基礎自治体がやる。保育園も基礎自治体、教育も基礎自治体、区民会館やホールや図書館とかも市立・区立が多いと思います。そこに意外と、我々議会は手が出せません。
都が予算を立ててやるといっても、基礎自治体がうちはやらないというと、予算が積まれただけで誰もやらなくて、ぶた積みって言いますけど、結局予算が使われずに残ってしまう。基礎自治体との連携は重要ですが、そこがなかなかできていないのが実態です。
話が脱線します。僕は小池百合子さんとずっとやっていて、裏切ったことで有名になりましたが。小池さんと一緒にやっていたとき、東京都知事をとりました。都民ファーストの会が第一会派になりました。その次は基礎自治体をとりましょうという話になっていました。区長や市長をとって、そして次に基礎自治体をとりにいく。区議会議員の多数派をとるとなれば、東京都の施策が下まで流れていく。市民に届く、それが地域政党改革、それが東京大改革だと小池知事とスタートしました。
ところが小池知事は下ではなく上に行った。国の権限をとりにいこうとしたので、それは違うでしょう、上にいくのはあなたの欲望ですよねと。最終的にケンカをして別れた。
都民ファーストの会、彼らがどれだけ権限を持っていても動かない。広域自治体だからです。かつ、選挙制度の話だと、彼らは中選挙区制度の代表者です。
でも、東京都議会は東京都全てのことをやるので、利益相反があります。地域の代表者として、世田谷区だったら世田谷区の予算を、とやると、引っ張った分の予算が多摩から減るなら、東京としてはマイナスになってしまうかもしれない。次の選挙に勝つには、東京都全体より世田谷区のことをやったほうがいい。東京都議会議員は全体を見なければいけないので、世田谷には申し訳ないけど、多摩に予算をあげたほうがいいと、本当はやらなくてはいけないが、選挙の集合体の構造上、そういうことをやる人は少ないと思います。
僕は東京の北区ですが、豊洲市場のことばかりやっていた。北区の人からものすごく怒られます。もっと北区について予算をとってこいと。いやいや、東京都の一大事だから、そのために時間を使われてくれと言いましたが、北区民では理解してくれる人が少ないです。そういうねじれた中で日々の活動をしています。
都民ファーストの会は小池さんが代表で極めて女性が多かったので。ただ2年後は揺り返しがくるので、また20%くらいに落ちると思います。ただし、という但し書きをしたのは、トリックがあります。これまでの都議会与党は自民党と公明党です。自民党にはほとんど女性議員はいません。50人の中で2人とかですね。公明党も2~3人。与党でみると5%くらい。
20%いるからといって、東京都の議員が女性の意見をたくさん伝えているか。野党がわあわあいう中には多いが、本来の意思決定してる与党には男性議員ばかりなので、女性の意見は伝わらない構造になってきたのが2017年までの都議会でした。
2017年からは28.3%になって、都民ファーストの会が与党になって、そこに女性が多くて、女性の意見は極めて通りやすくなっていると思います。昨日か一昨日、多胎児にベビーシッター助成をもっと出すという話が出ていました。これは都民ファーストの会がトップをとらなかったら予算はとれなかった。ポンポン予算をつくようにならなかったと思うので、与党側の女性議員が増えていくのは、予算の使い方や議会のあり方に影響があると思います。
皆さんにぜひ考えていただきたいのは、東京都は人口比率に比べると議員数が極めて少ないことです。東京都は1300万人の人口で127名の都議会議員です。地方議会では都道府県では最大ですが。ならしたら10万人に1人です。埼玉県でも93万で733人。7~8万人に1人。もっと小さい鳥取県では、57万人で35人。1万5000人に1人。基礎自治体の北区など1万人以下にたいして1人。このぐらいのボリュームでみんなの意見を聞くのがベースだと考えると、東京都議会は10万人の意見を1人で扱わないといけないので効率が悪く、戦力としては、はなはだ心許ないことになります。
少子高齢化の時代で不況だから議員定数をもっと減らそうと言う人がいますが、反論としては、東京都議会なので人口比としては倍ぐらいにしてもいいぐらいだから、減らすなんてとんでもないと、わーとやり合っているのが実態。
ここは論点なのでいろいろ結論があると思います。数字上は少ないのは認めます。僕が6年都議会にいた実感では、127名は多すぎると思います。働き蟻の法則といって、2割は働かないという法則がありますが、東京都議会で優秀で働いている人は2割ぐらいです。20人くらい。ほかの100人くらいは、正直何をやっているかわからない。東京都は14兆円の年間予算があるので、精査しようとしたら126人が手分けしてもできないくらい。大体の人は予算委員会、決算委員会でも数字は見ないで、教育現場で国旗がないがしろにされていると突然言い出したりするおじさんがいる。人数を減らすことで競争率を高めて、本当に優秀な人しか残らないようにしたほうがいいと。そんな視点からも都議会を見てみるのもいい発想だと思います。
先ほど働きにくいというアンケート結果がありました。都議会の特徴。謎に夜型です。「謎に夜型」ほとんどの委員会のスタートが午後11時から。普通は9時か10時。国会など8時からのこともある。5時とか6時には大体終わりますが。理由としては、東京都には島があり、伊豆七島も東京です。タテに長い。離島の議員さんは9時開始だと間に合わない。午後1時スタートにしないと不公平。
でも実態として、島の1人の議員が毎日島から通っているかというと、そうではない。議会がある期間中には東京都内に宿舎がありますから、そこから通っている。北海道なんかもっと広いのに10時からやっている。なんで東京だけが1時からというのに正当性はないと思います。このやり方でずっとやってるということで、1時に始まります。ヘタすると朝3時まで、深夜もめたりすると朝までやってたり。子育て中の女性の議員ができるか。ベビーシッター雇えばいいとか言いますけど、何時になるかわからないので、シッターさんにもう1時間とかで夜中になると、お母さんと一緒に住むとか別の方にヘルプしてもらわないと議員は続けるのが難しいというのが東京都議会の実態なので、変えなければいけない。
もう1つ、定性的というか、数字じゃないところ、僕がみてきた都議です。都議会議員は改革力が低いです。変えよう、もっとよくしようという意識が高い人にはあまり出会わなかった。理由がいくつかあります。東京都は豊かです。14兆の予算規模。唯一の黒字団体。入る税収のほうが多いんです。困ったことがあっても、カネで解決できる。今現在は人口も増えています。日本では過疎化、高齢化も進んでいますが、東京都は30代が多い。町は若くて活気がある。今現在、明日にでも変えないとどうしようもないことってないんです。
日本維新の会は大阪の政党ですが、大阪ってこの10年、めちゃくちゃ改革がありましたが、10年前の大阪は借金だらけ。町を歩くと上半身裸の人とか、漫画の世界みたいなすさんだ状況で改革しないといけないと。ここ10年、改革が進んだわけです。東京都はそういう危機感がない。
小池知事が都政に入って、大阪と同じようなことを、そのメンバーがやろうとしたけどできなかった。全体の意識に差があります。村社会制度が高い。その伝統が都議会は強いです。ほかから来た人も、都議会ほど古いところはないって言います。
2013年に東京都議会にきましたが、ブログやツイッターなんて信じられないわけです。議会のことを議会の外で発信するとは何事か、と。ツイッターの画面をプリントアウトして、赤を入れている。この発言は問題だとかって説教されました。消せ、消しませんとか言って。ムラ社会ということです。
上昇志向があまりない。上昇志向って、地方と国がどちらが上かというのはよくないですが、基本的にやはり国が上。年収もあるので、政治家で野心のある人はいるのですが、都議会は上昇志向を持っている人があまりいないんです。
都議会議員は上がりのポジション。おじさんが順番人事で都議会にきて、そこで行政をやって、70ぐらいで引退するというのが一般的なルートです。都議会から国会議員に行く人はあまりいない。優秀な人は一本釣りで、今、公募しますので、日銀出身とかいう人はいきなり国政で出る。都議会議員からというのはあまりなくて、上がったおじさんたちが多いんです。ムラを守ることをしているし、上にいくギラギラ感はない。ただ、秩序を守るのは強いので、秩序を壊す人はつぶしにかかるいという傾向があると思います。
アンケート結果が戻ってこないというのは、ムラ社会の住人としてはアンケートに答えない。波風を立てたくない。答えても票が増えるわけじゃないし、変な研究発表をされたらいやだから、さわらないというのが一番穏当なんです。今年有効回答数が増えたのは、単に新しい議員が増えたからです。都民ファーストの会はムラ社会では外様なんです。だからアンケートが来たら自然に答えようと。改革意志や上昇志向が低い。 一方でムラ社会度が高いのが都議会の特徴だと思います。
さはさりながら、この数年間、都政は変革の可能性があった。2016年の都知事選では小池知事が圧勝した。このときは僕、小池さんを応援しました。最初、絶対勝てないと言われていた。100万票いったらたいしたものだと。あれよあれよと風が吹いて、300万近い得票でした。鳥越さんに勝って番狂わせを起こした。変えてほしいという期待があって、都民ファーストの会というのを作って第一党になった。東京都の改革ポテンシャルを示したと思います。
残念ながら、ここから小池さんが迷走して、この勢いで総理大臣になろうとしたことで改革が腰折れ、都民の支持が離れました。それがないと改革はできません。村社会の住民は村を変えてほしくないなかで、風が止まれば村社会に戻る。都民の方は改革を望むこともあるし、望めば変わるということが起きる余地はあると思います。都議会は可能性があるんです。
僕は国会で半年たちました。国も結構絶望的。まず少子高齢化。手遅れとも言えるような。とんでもない数で若者が減っていく。財政難。1200兆円の国債発行。プライマリーバランスは大赤字。
最も悲惨なのは、国会でびっくりしたのは、国会議員は結構優秀なんです。僕は生意気なキャラクターなので、蹴散らしてやると思って都議会で蹴散らしてきたが、国会議員は優秀なんです。頭もいいし、話すと僕でも勝てないぐらい。その優秀な人が集まっているのに、やってることはめちゃくちゃ非生産的。ポンコツの人がポンコツをやっているのならいい。お前ら出て行けってやればいい。意外と優秀なのに集まるとダメになるという重症です。構造的な問題が大きい。今までの慣習や伝統。優秀な人が縮こまる。単に人をかえればいいってことじゃないので国会は大変だなと思いました。
一方で都はどうか。超高齢社会が来ますが、14兆円あって黒字だという日本で唯一です。都議会に村社会のおじさんがいて非生産的なので、あのおっさんたちを駆逐して若い人が多くなればという活路は見えます。東京都を研究して都議会はどうあるべきか、若い人から提言して変わるということで、東京都がかわっていくチャンスがあると思います。
アフター五輪、東京大会が行われますが、2025年からは東京都減少局面で、そこからは世界最速で少子高齢化が進んでいくことが見込まれます。移民でも受け入れない限りはそうです。東京都と議会が変われるかは、まさに都民、私も都民ですが、若い我々に、次の世代の人材に問われている課題だと思います。
私は国会議員になりましたが、東京から選ばれている議員なので、都政の課題については引き続き取り組んでいきたいと思っています。私からの話は以上といたします。ご清聴、ありがとうございました。マシンガンのようにしゃべりましたが、ご質問があれば。あと5分ぐらい余っています。
中條:圧倒されて。
音喜多:速記の方も、めちゃくちゃしゃべりまして…。
学生:政策のところで仮想通貨についてありましたが、ご自身が政策面で注力したいところは?
音喜多:仮想通貨も1つあります。ブロックチェーンがおもしろいというのと、地域通貨を独自で発行して、地域経済を盛り上げるということで、今後の日本社会が自立分散型といっていますが、一個一個独立するためにはテクノロジーの活用をしていかないといけない。既存の政治家にはなかなかできない。ブロックチェーンや仮想通貨が何かをわからないといけない。わかったとしても村社会の人なので、新しい通貨がやってくるのはとんでもない話で。抵抗勢力ができないことなので。
僕がやっているのは、情報公開。ブログ、ユーチューブもそうですが。民主主義社会は選挙で偉い人が決まって、その人たちが意思決定していく中で、どうやって皆さんが政治家を選ぶか。選挙で選んでいます。出てきた情報から、この人は正しいとか、この政府はいいことやってるから今の政府に任せようとか。正しい情報が出てこなかったら、全然景気がいいですとか、戦前の日本のようなことをしていたら、何回選挙をやっても皆さんは正しいリーダーを選ぶことはできないわけです。
正しい情報を得るのが、民主主義においては重要なこと。正しい情報をしかるべきときに皆さんに届けるのが情報公開ですが、日本政府はなかなか最近はできていない。 桜を見る会でもですが、すぐシュレッダーにかけたり、森本問題でも財務省が書き換えていたとか。民主主義社会では致命的な欠陥だと思います。公文書は捨てない、変えないとか。そういうことをブロックチェーン技術などを取り入れて、しっかりやっていきたい。
学生:都議会から国会議員のルートが少ないということでしたが、参議院議員としての活動と都議会議員の活動の差について、伺いたい。全体的に。
音喜多:全体的には、やはり国政では外交安全保障。これは地方議会には絶対ないので。その範囲が広がる。金融政策とか、お金をいくら刷るか。東京が大きくても、地方議会、東京都が大きくても外交とか安全保障はない。日本政府は日本銀行と連携して通貨政策ができるが、金融も出てくる。そこ2つが国家の根幹です。それがあるかないかは、重要です。
地方議会にはないこと。規模が極めて違う。国会議員は秘書が3人つく。議員会館も3LDKの部屋がもらえ、そこで執務をして、国会図書館というすごい調査機関がある。 東京都議会も日本で一番大きい地方議会で、所得も恵まれて図書館もある。全然ランクが違うので、調査能力が国会議員のほうが持っていると思います。
学生:あたらしい党のオンラインサロンをはじめられたと書いていましたが、どういう形で。今入ってる人はどういう属性でしょうか。
音喜多:地域政党のあたらしい党をやっていて、ただで参加できるので、皆さんにも入ってもらいたい。政党は党員を集めて年に4回、広報誌が来るっていってもおもしろくない。党が変わる感覚は見えてこないわけです。党が何をしているか議論を可視化して参加型をつくっていこうというのがあって、オンラインサロンはここ3、4年のブームだと思います。
相互コミュニケーションとしていいのではないか。しかもクローズな空間で、メンバーしか見られなくて、Twitterのように荒れないし、音喜多駿に共感を持って入っているので、議論もしやすいので運営できる。実際200人ぐらい。基本的にはそんなに荒れない。和気藹々と議論をしています。そうすることで党員同士のロイヤリティ、忠誠心を高め、いい提言があったら、我々も生かしていくと、双方にとってうまみのある仕組みだと思っています。
学生:都議会議員だった時代に、多くの議員が都の中で活動していたけれども、自分はほかのところに行っていたと言ってましたが、他の県に行ってどういうことを行っているのかと、他の県について何がおもしろかったか。
音喜多:東京都はあきらかに一番進んでいるので、僕も海外視察に行って、フィンランドなど、非常に勉強になりました。国内でも福岡とかベンチャー都市で、規制緩和で自動運転の実証実験をしたり、ベンチャー企業に助成を厚くして集めたり。東京都のやっていない取り組みをしている福岡ぐらいなら、見に行くべきだと思います。
実態として都議会は、ダム建設なんて今後絶対やらないのにダムの見学行ったり。おろかなことをやっているのなら、全員福岡に行ったほうがいいし。あと、大阪も民間委託して公園を貸し出すんですね。大阪城公園なんかも民間に貸し出す。そのかわり毎月、使用料を払ってくださいとやれば、めちゃくちゃ今にぎわっていて、管理料を市がもらっているんですね。そういう先進的事例を見つけて見に行くのが重要だと思います。
他にありますか?今日、話題に出てないことでも。授業時間はあと1分ですね。最後の1問。先生、いかがですか。
中條:ない。
音喜多:じゃあ、次郎君。
中條:さっきのことに関連しますが、都議会議員から参議院議員になって行動の制約とかは?
音喜多:逆にそんなにはない。変わらないですね。サラリーマンから都議会議員になったときはめちゃくちゃありましたが。都議会議員と国会議員では変わることはなくて、単純に注目度だと思います。僕は割と知名度があるほうなので。キャバクラなんかは行けない。小泉進次郎さんなんかもそういうことはできないわけで、都議会とか国会ではなく、知名度に比例して行動に差が出てくるのかなと思います。ぜひツイッターでフォローしていただいて、YouTubeのチャンネル登録をお願いします。
最後に 僕の話、わかりました?鬼のようにマシンガンで。オレンジがテーマカラーです。ちなみに、政治家は選挙のために色をえらばなければ。駅前にいて、オレンジだから音喜多さんだって認識されるのが大事です。次郎もオレンジ。